次の10年を
あなたはどう描きますか?
#全員が自己ベスト

メダル一つひとつにいろんなストーリーがこもっている

奥山 小百合(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)
選手じゃなくても東京2020大会に「参加」できる?

オリンピックやパラリンピックで、成果をあげた選手へ贈られるメダル。東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会では、全国から回収した携帯電話等の使用済み小型家電から抽出した金属を原材料として作られる。

「これを一気通貫でやったということはこれまで、日本の中ではなかったことなんじゃないかと思っています」

東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会で「都市鉱山から作るみんなのメダルプロジェクト」を担当している、奥山小百合さんはこう語る。

奥山さんは2年に組織委員会に着任。その時から関わっているメダルプロジェクトは現在(※2019年3月27日時点)、メダルを実際に製造するというフェーズに入り、奥山さんは製造機関などの進捗を管理する立場にある。

「学生時代にずっと使っていた携帯電話とか、昔ちょっと流行っていた写真シールとか、ストラップとかいっぱい付いたもの、自分の思い出が詰まっているものをこのプロジェクトのために出したいって言ってくれる方もいて、色んなストーリーがあるなと思いました」

そんな日本中の思いを集めてメダルをつくるプロジェクトだが、公式のメダルとしてIOCの承認を得るまでに、たくさんの課題を乗り越えてきた。

「やるまではお願いすれば作ってくれるというか自動的にできるんじゃないかぐらいに思っていたんですけど、全然そうではなかった」

と、振り返る奥山さん。

「この規模のこの数(過去最大数)のメダルを作るっていうのは過去になかったので、色々な課題があるんですけど、その都度知恵を振り絞りながら、解決していってるって感じですね。各業界が一体のチームになってやっていくことが、面白さでもあり、課題でもありました。本当に色んな思いの詰まったメダルになったなと思っています」

考え方や、やり方の違う業界を一体のチームとして作り上げていく中で役立ったのは、意外にもスポーツをやっていた経験だったと奥山さんはいう。奥山さん自身、スポーツをするのがとても好きで、小中高時代はずっとバスケットボール部で活動していた。

「一つのチームになってみんなで一つの目標に向かっていくってことに関しては、自分もすごく心を注いだ時期もあったので、今回メダルを作るという一つの目標をみんなで持って各業界のプロフェッショナルの方々と一緒に進んでいくっていうところは少し重なったところはありました。(小型家電の回収でも)本当にみなさんに関わっていただけました。あの(メダルの)どれかに(自分の提供した部品が)入っているんじゃないかとかって、思いながら大会を見ていただけたなら、すごい嬉しいですね」

奥山さんの所属するプロトコール課は、東京2020大会において儀礼・儀典に関わること全般を担当する。メダルでいうなら、製作にはじまり選手への授与まで、一貫して関わる部署だ。メダルの完成後も、東京2020大会が終わるまで気は抜けない。そんな奥山さんにとって、どんな瞬間が、「全員が自己ベスト」といえるのだろう?

「おそらく100パーセントといっていいほど予想し得ないことが大会中絶対起こるのでどんなことがあっても柔軟に対応して、来て下さった方、見て下さった方が、『本当に素晴らしい大会だった』といってくれるような運営を絶対やりきる、というところが最終目標ですね」

#多様性と調和

もっと住みよい国へなっていく機会に

奥山 小百合(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)
困っている人たちのために、何を変えればいいんだろう?

奥山さんは、仕事を通じて色々なオリンピアンやパラリンピアンと実際に会うことがある。そういった時には、どのような経験を得てあの舞台にたどり着いたか、などの話を聞くそうだ。

「乗り越えて来たものが全然違うぶん、発想や言葉に重みがあります」

中でもとりわけ奥山さんの印象に残っている、あるパラリンピアンの言葉があるという。
それは、「カナダにいる時、じぶんが障がい者ということを1日も感じる日はなかったけれども、日本で暮らしていると毎日毎秒それを感じる」というものだ。

わたしたちも、意識しないところで自分たちのいっている言葉だったり行動だったりを通じて、相手をそこの選手のような気持ちにさせてしまっているかもしれない。
けれど、今まで生きてきた中であまりそういった機会に接してこなかったから、何をどう変えればいいのかわからない、というところもあるのではないだろうか?

こうした中で、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、何を「変える」必要があるのか知るためのいいきっかけにもなると奥山さんは思っているという。

「障がいのある方もたくさん見に来ますし、それを踏まえて生の現場を見ると『このステップじゃ上がれないな』とか『そもそもの仕組みとして考えられてなかったんだな』っていうことに気付けると思います。大会は、これからもっと住みよい国になっていくにあたっては非常にいい機会なんだなと思います。自分自身もたくさん気付けることもあると思いますし。困っている人がいたら声をかけてみるとか、普段はしないアクションを進んでやってみることで、自分自身も変われることがたくさんあると思います」

「多様性と調和」を掲げた東京2020大会の先でどんな未来が広がっているのか。奥山さんはこう期待を語ってくれた。

「個人が持っている『良さ』を生かそうっていう時代になって来ているのかなって思っています。『こうしなければいけない』とか『こういう風に進んで行かなければ間違っている』『正しい』とかではなくて、個人が思う良いことやりたいこと突き詰めて行く方がどんどん増えて行く。それは個人的には良いことだと思っていて、スペシャリストになる、何かを突き詰めて自分の好きなことをやっていく。そのなかで色々な方が交わって相互作用で素晴らしいものが生まれたりだとか、新しい仕組みが作られていったりですとかそういったことに繋がって行くと思います。楽しみですね、未来は」

#未来への継承

子どもたちの心に残る思い出を大事にする

奥山 小百合(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)
東京2020大会のあとには、何が残るだろう?

「子供達が大会を終わってどんな思い出が心に残ったかとかそこがすごく大きいと思います。これからの社会を作っていく世代がどう感じられたかすごく重要なテーマなので」

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のコンセプトの一つ「未来への継承」について奥山さんにきくと、こうかえってきた。

実際、メダルプロジェクトでは小中学校にも回収ボックスを置いたり、教育プログラムとしてこういう活動をしているというのを授業の中に取り入れたりといった活動も行なってきて、手応えも感じているという。

「自分の親戚に小学生が一人いて、仕事のこととかまったくいったことはなかったんですが『こういうプロジェクトやっているの知ってる?』とメダルプロジェクトのこと聞かれて『それ私がやってるんだよ』と話をしたことがあって。携帯電話や小型家電にこれだけの資源が入っていて、それがメダルになって大会で使われるんだ、ということまで学校の中の教育で知ってくれていたんですね。けっこう夢のある話だと思うんですが、そういうところがすごく嬉しかったですね」

と奥山さんはふりかえる。加えて、東京2020大会についてどんな期待があるのかも聞いた。

「まずスポーツを楽しむということについて、スポーツ自体に対する見え方が大きく変わる機会だと思っていまして、スポーツを通じてできた関係性だとか自分の中の自信だとか色んなことが生まれる素晴らしいものだと私の中では思っています」

最後に、高校生に対してこんなメッセージをくれた。

「生きていく中で色んな条件だったり制約だったりとかその環境で出来ることできないことっていうのはあると思うんですけど、その中で自分が納得できるっていうことを大事に生きて行くことがいいのかなと個人的には思っていましてそれを信じて進んでいって欲しいですね」

Profile
Sayuri Okuyama
奥山 小百合
公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 部署 国際局 国際渉外部 プロトコール課 プロトコールチーム。東京2020大会で選手に授与される約5000個の金・銀・銅メダルを、全国各地から集めた小型家電・リサイクル金属で作る国民参加型プロジェクト「都市鉱山から作る!みんなのメダルプロジェクト」を担当している。
#全員が自己ベスト

自分だからできることにこだわり国や文化を越えて同じ目標に向かっていく

黒岩 哲也(都市開発担当者)
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