次の10年を
あなたはどう描きますか?
#全員が自己ベスト

自分だからできることにこだわり国や文化を越えて同じ目標に向かっていく

黒岩 哲也(都市開発担当者)
様々な背景や価値観を持つ人たちとどう向き合う?

多様なバックグラウンドや考えを持つ人々との関わりの中で、ものごとや仕事に取り組む難しさは、きっと、高校生に限らず社会人やたくさんの人がぶつかる壁だ。

都市開発事業を担当する黒岩哲也(くろいわてつや)さんは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の選手村跡地利用をみこした街づくりに携わっている。

選手村周辺の開発は、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会が一過性のお祭りではなく、そのエリア自体が活性化して将来に向かって伸びていく、期待感あふれる街づくりをすることを目指して行われている。

そんな黒岩さんに東京2020大会の都市計画にまつわる苦労や思いを聞いた。

黒岩さんの子供時代から話をきくと、現在の仕事への興味は身近なところから生まれていた。小学生の頃から、出身である千葉県の船橋市にある商業施設『ららぽーと』に通うことが日常だったという。

「本当に何も予定がなくてもそこに行って、大学生になってからも『予定ないからとりあえずららぽーと行こう』みたいな、そんな感じになっていたんですよね。予定がなくても行けば楽しめる、そういう観点から空間づくり・街づくりを考えるようになりました。」

大学時代はバイトと経済学科のゼミ活動に打ち込んでいた。苦手意識のあった数学や、マクロ経済・ミクロ経済といった大きな概念に、「自分の力の及ぶ範囲を越えている」という違和感を感じることもあった。そんな中、黒岩さんがたどり着いたのが『人』という観点だった。

「どういうものが自分に合っているのかなって考えた時に『人』に焦点を絞って、小難しいこと考えるより人とコミュニケーションとった方が楽しいし、なんか開けてくる感じがしました。たぶんどういう会社に入っても人とのコミュニケーションで生まれるものはあるのかなと思ったのですが、その中で自分として一番取り組みたい『空間創造』『街づくり』に関われる今の会社選びました」

入社のあと、一から手掛けた関西のアウトレット事業を振り返るうちに見えてきたのは、そんな人とのコミュニケーションの中に生まれる仕事のやりがいだ。

用地の取得からはじまり、どういう施設を作るのかというデザインや設計、どういうテナントを入れるのか、どういうお客さんに対してマーケティングするのか、地元の方とどうやって関係を築くのか、そういったプロセス全てに関わる経験は、社会人人生の中でも本当に記憶に残っていると語る。

「私ひとりの力とかノウハウでは限りがある中で、当然、設計の方もいればデザイナーの方もいるし、地元の方もいらっしゃる。そういう方々と協議を重ねて、その人たちのアイデアをもらいながら『私はこういう良いものを作りたいんだ』っていう思いを強く持ってそれを共感してもらうことで、一緒につくりあげていくところにやりがいがあります。地元の方々に反対されて、設計士さんも他に仕事を抱えながら『まだそんな要望出してくるの?』といわれたこともありましたが、妥協せずそういうのを乗り越えてやってこられたのがいま糧になっています」

お客さんがそこに入って、今まで人の流れがなかったところに人を呼び込めるのが、都市開発の仕事の魅力。違う人が取り組めば違う良を発揮することもあるけれど、自分が関わることで「こんな新しい価値を生み出した」「こんな良い環境を生み出した」、そういうものを作っていくことが何より大事で、自分だからこそできることにこだわるのが“自己ベスト”だ、と黒岩さんは話す。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会は、それに関わる街づくりも含めて、「成功させる」という大きな一つの目標に向かって、みんなが同じベクトルを向いているプロジェクト。ただ、会社や環境、国や文化の違いもあり色々な関係者がいる中で、どうしても方向性を合わせづらいところもあり、だからこそやりがいがあると黒岩さんはいう。

「そこをどう調整するかっていうのがとてもやりがいのある内容でもあるんですけど、皆当たり前のように一体になって一つの方向を向いて、それを成し遂げた時が『全員が自己ベスト』であり、ひとりだと達成できない喜びにも繋がると思います」

#多様性と調和

個性を活かした共生の街づくり

黒岩 哲也(都市開発担当者)
立場の違う人々に応え、それぞれの魅力を引き出すコミュニケーションとは?

性別や考え方、文化などが異なる人それぞれが、街や社会に対して「本当に不便なことは解決して欲しい」「こういうとこだけは良くして欲しい」といった個別の思いを抱いている。それらを正しく理解しないと個性や特徴のないみんなに対して優しいけれど何も魅力がない街になってしまう、と街づくりの難しさを語る黒岩さん。本当に求めていることにはしっかりと応え、それを踏まえて、よりみんながポジティブになれるような街づくりにするべきと話す。

この街づくりに対する考え方でも、黒岩さんが大切にしている『話を聞いてみる』という人とのコミュニケーションを大事にする姿勢が生きている。

「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会を両方とも取り組ませていただいて、それぞれのアスリートの方とも話をしていて、とても魅力あるんですよ。当然アスリートとして色んな困難や苦労だとか壁を乗り越えてきている魅力っていうのは持っていらっしゃいますし、精神面の豊かさを感じました」

本当に必要なものは、文字面だけでは伝わらない。人とコミュニケーションをとらないと見えてこないものがたくさんあり、生の声を聞くことが都市開発では大事だという。「本当に100点だ」「やりきったな」という思いでいられることはなかなかないが、それでも愚直にやっていこうとする意志が黒岩さんの言葉からは感じられる。

では、『調和』という言葉について、黒岩さんはどう考えているのだろうか。

「『調和』って言葉は非常に難しくて、譲り合って妥協してみたいなニュアンスをどうしても感じてしまうんですけど、調和って共生と近いんじゃないかなって。良さを発揮し合いながらそれを認め合っていければ、その良さを掛け合わせて新しい価値って生めると思うんですよ。」

自分が知らないこと、人と違うこと一つひとつを魅力として上手く形にしサービスに生かしたり、そういった個性に気づくきっかけを作るのが、デベロッパーのやるべきことだと黒岩さんは考えている。個性を生かし、光る形で表現する、黒岩さんが目指しているのはそんな街づくりだ。

#未来への継承

未来への種を受け継いで新たな価値創造の機会を紡いでいく

黒岩 哲也(都市開発担当者)
過去から学び、次世代へ伝えるべきものを残していくには?

過去から、2020年、そして未来の東京へつながる都市計画とはどうあるべきなのだろうか。

東京1964大会の時には、高速道路ができて日本の交通事情、物流が非常に活性化し、経済発展に貢献したといわれている。しかし、それから数十年たった今、日本橋の上に架かる高速道路が景観の阻害になっている、という状況が生まれている。

「(都市開発の際に)言い方を変えれば、今ある景観をどうやって価値あるものとして残していくのか、気づくことができたともいます。だからこそデベロッパーとして真剣に考え、他の街にあたってもそういう視点は絶対忘れない」
と、黒岩さんはいう。

「とにかく今、我々としてベストだと思うものを形にして分解してサービスにして残す、まずはそれをしなければいけないと思っています。ただ、この形が10年後20年後にとってベストかどうかっていうのはわからない。でも、その時ベストだと思ったものをベースにその時代を生きる人々が新しい価値を付加する、または、これは失敗でもそこから気づくものっていっぱいあると思います。そういう種をいかに残せるのかっていうのが大事かなと思っています。」

東京1964大会は、日本が高度経済成長期に入り「これから豊かになる、発展していく」という人々の雰囲気の中で開かれた。一方、日本が『成熟期』と呼ばれ、ものだけでは人の喜びは得られない時代ともいわれる中での東京2020大会では、経験や感じ方、価値観といったものを形にして残しエッセンスとしていくべきだという。

「何か未来に『これを絶対承継したい』とか『これは100年後も絶対価値だ』ということはわからないものの、次の人に考える機会、何かをする機会を残していけるようにと意識しています。どう捉えるかでポジティブにもネガティブにも変わると思うけど、将来に対してはもっと色んな価値を生み出していける良い種なんじゃないかなと思います」

黒岩さん自身は自分の子供に仕事の話を聞かれても、あまり東京2020オリンピック・パラリンピック関連の仕事をしているということはないそうだ。世界各国の選手達が生活する空間に携わり「自分が良い」と思って提供したものをおもてなしとして感じて喜んでくれたら素晴らしいし、「これは自慢したいところ」と笑う。ただ、一番は子供が純粋にどう感じるかというのも楽しみにしているという。

最後に黒岩さんの手掛けた選手村・晴海フラッグを通じて未来に残したいものとは何か、街づくりに対する思いを聞いた。

「今から100年前って本当想像もできないような環境だった中で、ここからの100年後を考えた時に、明確に『こうなってて欲しい』というのは正直ありません。でも、せっかくこの東京2020大会を踏まえて新しくできる街なので、その要素を入れてその時にもまた新たな仕掛けをして東京の中でも光っている街になっていて欲しいと思いますね」

Profile
Tetsuya Kuroiwa
黒岩 哲也
新卒で三井不動産株式会社に入社し、現在は三井不動産レジデンシャル株式会社に出向。東京2020オリンピック・パラリンピック選手村事業部で、選手村跡地を利用した不動産開発における街づくりに携わっている。
#全員が自己ベスト

メダル一つひとつにいろんなストーリーがこもっている

奥山 小百合(東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)
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