次の10年を
あなたはどう描きますか?
#全員が自己ベスト

目で観ている世界よりももっとキラキラしたものを撮りたい

松本 花奈(映画監督)
結果だけにとらわれないために、どうする?

スポーツ大会への参加や、自分で作り上げた作品の発表といった「チャレンジ」には、プロセスと結果が伴う。ただ、結果だけにとらわれると気持ちが振り回されて消耗してしまうこともある。そんなときはどうすればいいんだろう?

「例えば東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会ならメダルがあったり、映画制作だったらお客さんがどのくらい入ったかだったり。出来事が終わった直後は、そういった結果しか見えなくて落ち込んだり、一喜一憂したりすると思うんです。もちろんそれも大事ですけど、そのときの自分がどうだったか、プロセスも含めてちゃんとやりきれていたか、悔いがないか、が大事なのかなと思います」

大学生映画監督の松本花奈さんはこう話す。松本さんは現在(※2019年5月15日の取材時点)、21歳。大学で心理学や脳科学を専攻しながら、映画だけでなく、有名アイドルのミュージックビデオやドラマなど、幅広く監督として活躍している。

松本さんが最初にカメラを扱ったのは中学生のときだった。

「カメラを通して観たら、自分で見ているよりも世界が綺麗に観えた、ということがありました。目で観ている世界よりも、もっとキラキラしていて楽しいもの…。映画を作りたいっていうよりは、そんな映像を撮ってみたいって思ったのが、初めのきっかけでしたね」

高校2年生のときに同世代の友達と70分ほどの映画を作って映画祭に出品したことをきっかけに、「これを仕事にしたい」という気持ちを抱いた。

「上映してもらったときに、テレビから出ている音とスクリーンを通して出る音っていうのが、全く違うなと思いました。この劇場で観た経験が、『もっとやりたいな』という気持ちに繋がったところが大きいですね。今は映像がすごく簡単に撮れるから、ネットとか観ていてめちゃめちゃいいのに全然広まっていない作品があったり、自主制作で映画を作ってもそれを上映するところまで持っていくのが難しかったりというか、下手すれば自己満で終わってしまう。でも、映画監督を仕事にすると、作品を見てもらえる可能性が高くなりますよね。『作ったものを見て欲しい』っていう気持ちがすごくあったから、これを仕事にしたいと思いました」

作品を作り多くの人へ届けて見てもらうことには、スポーツに通じる魅力があると松本さんはいう。

「最初は一人で練習していたり一人で創作したりして生み出したことが、頑張れば世界中の人に届く可能性があるというのは、すごく夢があることだと思います」

そんな松本さんの「一生の自己ベスト」は2年ほど前に撮ったあるアーティストのPVだそうだ。

「高校のときから一緒にやってきた仲間と作りました。その仲間は1、2個上の先輩で、映像制作を仕事としてやるか、趣味としてやって就職するか、みたいなことでけっこう悩んでいる時期でした。そんな中でみんなで『これに関してはもう全力を出し切ろう』みたいな感じで、3か月間ぐらいかけて作った5分程度のPVなんです。それにひたすら没頭するという時期を作って、本当に頑張ったものだったので、『これだけ頑張ったらもう頑張れないよ!』みたいな。そのときに出せるものは全部出したから、自分的には納得というか満足しています。もちろん、『もうちょっとこうすれば良かったな』というところもありますけど、でもこの作品に関しては、『そのときのベストがそれだったから、それでいい』っていう風に自分の中で認めてあげられる気がしていますね」

#多様性と調和

大学は「本当は知り合うはずじゃなかった」人と知り合える場所

松本 花奈(映画監督)
映画監督が、あえて進学する理由ってなんだろう?

将来の夢が見えてきたときに、直面するのが進路選び。高校生のときから映画監督として注目を浴びていた松本さんも、映像を専門にする学校に行くか、一般の大学に行くかを考えたそうだ。

「良くも悪くも学校で学ぶことをなるべく活かしたいなあと思っていて、大学を選ぶときも映像専門の大学を選ぶという選択肢も考えてはいたんです」

結果として、松本さんは映像専門ではない大学への進学を選んだ。それは、集まる人の多様性に惹かれたからだという。

「映画監督をするにあたって、人生経験というかいろんな経験を積みたいなと思いました。スポーツとかいろんなジャンルでそうですけど、自分の好きなことを一緒にやっている人とは価値観が似てきますよね。でも物語を描こうとしたときに、それだけではきっとできない。例えばめっちゃお金持ちの人とか、自分とは全然違うことをしている人のことを取り上げたくても、普通に生きているとなかなか知り合うきっかけがないんです。そういう意味でいうと大学は、本当は知り合うはずじゃなかった他ジャンルの人と知り合える場所なのかなって思います」

まさに東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会ではコンセプトの一つとして、「多様性と調和」を掲げている。多様性を重視している松本さんがこの言葉についてどう考えるのか聞いてみた。

「自分にはできないことだったりわからなかったりするものが、あることを認めることかなと思っています。他人との違いを感じつつもそれをあまり比べ過ぎないというか、ちゃんと自分のことを見てあげる。全然別のジャンルを向いていた人たちが、調和・融合することで、そこから新しい未来に向かう、何か一つの希望とか夢とかが生まれるのがベストだと思います」

#未来への継承

「今日はこういう気分だから」を大事にする

松本 花奈(映画監督)
「とりあえずやってみる」でいいの?

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のコンセプトの一つでもある「未来への継承」。実は、松本さんが映画を作る動機とも近いキーワードだという。

「映画に関わりたいなって思った理由の一つとしてクレジットで名前が出てくるというのがあります。星を見つけたら自分の名前がつくというのはありますけど、自分のやったことで自分の名前が載る職業ってなかなか他にないですよね。何かを残したい、『自分っていう存在がいたんだよ』ということを忘れないで欲しい、みたいな思いがあるのかなと自己分析しています。きっとみんなも『忘れることが怖い』というのを根本として持っているのかなって。SNSがそうですけど『残したい』っていう思いがあるから、何かを記録したり、そのときの思いを書いたりということに繋がっているんじゃないかな。そういうすごく広い意味で、『未来への継承』はいろんな面においてされていると思います」

最後に、高校生に向けてこんなメッセージをくれた。

「自分の直感を大事にして欲しいなと思います。『なんとなくこっちのほうがいいな』っていう思いだったり、なんとなく理由はないけど面白そうなこととかって、多分これまでのいろんな蓄積だったりいろいろ考えてきたことから生まれてきていると思うから。みんなが『とりあえずやってみる』みたいなことが、もっと気軽にできるといいなと思います。『なんかおかし作りたいな』と思ったらおかし作るのとか、最高ですよね。私もあんまり深くは考え過ぎてはいないというか、『なんか今こういうの撮りたいから』ってちょっと撮ってみたり、それがゆくゆく形になるかはわからないけど、『今日はこういう気分だからやってみようかな』と思ったらそれをやったりしているし、そういうことをみんなで大事にできるといいなって思いますね」

Profile
Hana Matsumoto
松本 花奈
1998年生。大阪府出身。高校時代に監督・脚本・編集を手がけた『真夏の夢』(2015年)が映画甲子園で最優秀作品賞となり注目を浴びる。以降、国際映画祭などで数々の賞を受賞。現在は映画監督にくわえてMV制作やアイドルの写真集撮影などにもフィールドを広げ、多彩に活躍している。
#全員が自己ベスト

ここで「できない」ってなったら恥ずかしいな

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