次の10年を
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#全員が自己ベスト

義足によって、世界最速の人間を生み出す

遠藤 謙(義足エンジニア)
世界最速の義足の選手が現れた時、その人を障がい者と思うだろうか?

義足エンジニアの遠藤謙さんは子供のころからキット工作などものづくりが好きで、大学では二足歩行ロボットの研究に打ち込んだ。そんな中、高校時代ともにインターハイを目指した後輩が骨肉腫という病気で、片足を切断することになった。そこから、義足に関心がうつっていったという。

「僕の興味はロボットのそのものの足よりも、二足歩行をする人間の足に代わるもの、つまり義足なんじゃないかなと」

現在、競技用の義足づくりに取り組む遠藤さん。とはいえ、足のない人が義足をつけたときの感覚は、遠藤さんにはわからない。そのため、試行錯誤の連続だ。

「数値的にはこれは正しいに違いないと思ったことが、実際に実験してみて違うということは結構ある。そんな中で調整しながら試してもらって『これはいい』と言われた瞬間は、やっぱり嬉しい」

そんな遠藤さんが目指す自己ベストは、「自分たちがつくった義足が使われて、世界最速の人間が生まれること」。その理由は単に「速い選手が見たい」だけではないそうだ。

「より速く走れる選手が我々の前に現れたときに果たしてその人を障がい者と思うだろうか? そんな問をみんなに投げかけたいんですよね。(社会の)大前提がひっくり返ろうとしている状況だと思うんですよね。大前提がひっくり返る瞬間って人生にそんなにないと思うので、これを見たいんですよね」

#多様性と調和

義足がメガネのようになる

遠藤 謙(義足エンジニア)
メガネって、「普通」?

数十年以上前の時代ではメガネは今のように薄くもおしゃれでもなく、牛乳瓶の底のようないわゆる「瓶底メガネ」がほとんど。メガネをかけることにコンプレックスに感じていた人もいたかもしれない。
だけど今、メガネをかけている人のことを、わたしたちは「普通」に感じてはいないだろうか?

その理由を、遠藤さんはこう考えている。

「メガネがかっこいいという人もいるし、かけたくない人にはレーシックとかコンタクトとか色々なオプションができて、メガネをかけるという状況に対して、われわれは以前ほど気にならなくなったんです。メガネをかけてる人に『メガネがかっこいいね』と言うことを『配慮が足りない』と非難する人は今時いない。メガネをかけている人に対して『あの人は裸眼視力が悪いに違いない』と思う感覚もない。矯正視力さえあれば生きていける、という感覚が世の中に生まれてるんです」

能力を技術で補うという機能だけを見れば、メガネと義足は似ている。

「メガネは価値観を変えたんですよね、これが義足とか他の領域でも起こり得ると思っています」

#未来への継承

大人がやっている領域よりもっともっと上を目指せる

遠藤 謙(義足エンジニア)
まわりにいる大人の言うことだけが、いつも正しいのだろうか?

「いま高校生の年代を過ごしている人たちって、非常に幸運なんです」
と、遠藤さんは切り出した。

インターネット、検索エンジンや動画サイト、SNSを通じて、わたしたちは今、ニュースや情報、技術をすばやく手に入れることができる。当たり前のことに思えるしれない。だけど、インターネットが生まれる前は、まず知っている人を探したり聞きにいったり、調べる・学ぶことにとても時間がかかった。それが、「幸運」の理由だという。

「大人がやっている領域じゃなくてもっともっと上を目指せる、未来への継承というとおごがましいというか、大人が言っているようなことを、簡単に超えていく世代なんだなと。僕は尊敬の念を抱いています」

そんな遠藤さんは高校生の時、「大人が大嫌いだった」し、「何か言われることに対して腹を立てていた」そうだ。だから、わたしたちに向けても、こう話している。

「大人のことは信用するな。今(大人たちの間で)起こっていることを『無視しろ』とはいうわけではなくて、お手本にするべきものもたくさん転がっているとは思うんですけど」

では、わたしたちはどのように行動したらいいんだろう?

「例えば東京2020オリンピック・パラリンピックはタイミング良くあって、世界中の人が熱狂するようなイベントが日本で行われる機会というのはめったにない。自分で見に行くとか、選手を調べる、そういったことに対して、アクションを起こせるような、そういうことをしてほしいと思っています」

Profile
Ken Endo
遠藤 謙
慶應義塾大学修士課程修了後、渡米。マサチューセッツ工科大学メディアラボバイオメカニクスグループにて、人間の身体能力の解析や下腿義足の開発に従事。2012年博士取得。一方、マサチューセッツ工科大学D-labにて講師を勤め、途上国向けの義肢装具に関する講義を担当。現在、ソニーコンピュータサイエンス研究所アソシエイトリサーチャー。ロボット技術を用いた身体能力の拡張に関する研究に携わる。2012年、MITが出版する科学雑誌Technology Reviewが選ぶ35才以下のイノベータ35人(TR35)に選出された。2014年ダボス会議ヤンググローバルリーダー。
#全員が自己ベスト

自己ベストの延長線上に日本記録があった

佐藤 圭太(パラリンピアン(陸上競技))
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